- 2012.02.06
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ハードボイルド
営業部の豊田です。
ついこの前まで新年を祝っていた気がするのに、気付いたら一年の1/12が過ぎていました。
改めて、今年もよろしくお願いいたします。最近、「探偵はバーにいる(早川書房・東直己著)」という小説を読みました。
昨年映画化された小説なのですが先日本屋で見つけ、映画がおもしろかったのが印象に残っていたので、原作も読んでみようかと。
北海道の歓楽街ススキノを舞台に、あるバーを拠点として何でも屋を請け負っている「俺」が、酒を飲み、人を探し、酒を飲み、喧嘩をし、酒を飲み、事件を追い、酒を飲む小説です。
北海道の方言混じりで綴られる会話から、それぞれの事情を抱える登場人物たちの個性が浮かび上がり、「俺」の軽い語り口から、重い話も重くなりすぎず伝わります。
「ススキノ探偵シリーズ」の一作目で、原作の方がより楽しめたので、続編も読んでみようとおもいます。
映画の方は「探偵はBARにいる」というタイトルですが、この小説ではなく、シリーズ二作目の「バーにかかってきた電話」を原作にしているようです。こちらとはまた別に「新宿鮫」シリーズも読んでいるのですが、こちらも場所は違えど新宿という人間の欲望が集まる歓楽街で起こる事件を、警察に所属しながらもその中で複雑な立場に置かれているゆえに一人で捜査する鮫島警部を主人公に据えて追っていく物語です。
どちらの作品もハードボイルドというジャンルに入る小説です。
ハードボイルドとは、「感傷や恐怖などの感情に流されない、冷酷非情、精神的肉体的に強靭、妥協しないなどの人間の性格を表す言葉」「文芸用語としては、反道徳的・暴力的な内容を、批判を加えず、客観的で簡潔な描写で記述する手法・文体をいい、アーネスト・ヘミングウェイの作風などを指す。また、ミステリの分野のうち、従来あった思索型の探偵に対して、行動的でハードボイルドな性格の探偵を登場させ、そういった探偵役の行動を描くことを主眼とした作風を表す用語」だそうです(Wikipediaより)。私はよくミステリを好んで読みますが、最近ドラマ化された「謎解きはディナーの後で」に出てくる執事のように、話を聞いたり、現場にいただけですぐに真相にたどり着けるようなスタイリッシュな探偵とは真逆の、泥臭く、地道に、時には危険な目に遭いながらも諦めずに真相を追い求める姿に魅力を感じます。
もちろん、シャーロック・ホームズなどの鮮やかな謎解きも爽快感があり魅力的ですが、ハードボイルド小説は謎解きよりも、登場人物たちの人間模様を楽しむものだと思っています。汚い言葉が飛び交い、時には暴力も当たり前という、自分が知らない世界だからこそ、刺激的で楽しめるのかなとも思いますが。
好き嫌いが分かれるジャンルではあるかもしれませんが、もし気が向いたら手にとってみていただきたいと思います。